発声障害

発声障害とは、声を生みだす声帯の異常によって、声が出しづらくなったり声の質が悪くなる状態を言います。

■構造的発声障害

声を出す仕組みとして、人は喉仏（のどぼとけ）の中に声帯があります。声帯は左右2枚あり、息を吸う時には開きます。普段は開いている声帯が、発声のときに閉じて、肺から送り出された空気がその間を通過する時に、振動で音が出る仕組みです。声を出すときや食べ物を飲み込む時にはその2枚の隙間を閉じるように反回神経（はんかいしんけい）を通じて声帯を動かすように指令が伝わります。閉じた声帯を呼気によって震わせることにより音が出ます。これは、クラリネットやサックスのリードが振動して鳴るのと同じ仕組みです。

声帯を動かす神経（反回神経：はんかいしんけい）が麻痺すると声がかれます。この反回神経の麻痺はウィルス感染などでも起こりますが、喉頭がん、下咽頭がん、甲状腺がん、肺がん、食道がんなどによっても起こります。また、甲状腺がんの切除手術では、声帯の神経を切除せざるを得ないケースがあり、それによって声帯が閉じず息がもれてしまい、声が出づらくなるケースもあります。

反回神経を切除されていても、ボイストレーニングを行うことで完全に元のように話をすることは難しいですが、一定レベルの回復は期待されます。

■機能性発声障害

声帯などの発声器官に構造的、器質的に障害がないにもかかわらず起こる声の障害を機能性発声障害といいます。心因性失声や変性障害があります。機能性発声障害の診断は耳鼻咽喉科専門医でも難しく、いくつもの病院を廻られてもむずかしい場合があります。検査を受け、原因を見つけ、あなた自身が発声のメカニズムを知り、声が出なくなる原因を理解した上で、発声トレーニング（ボイストレーニング）を行ったり、カウンセリングを受けたりして認識や心のケアをすることも必要です。

◎心因性失声

　呼吸時や、嚥下時（飲み込む時）には、声帯はきちんと閉じて振動もしているのに、人前になると小さなささやき声しか出なかったり、のどがつまったような感覚になったり、息苦しくなったりします。ニュースの原稿を読まないといけないという時に声が出づらいという方もいらっしゃいます。ヒステリー性失声ともいわれます。

◎変声障害（声変わり障害）

男性は第二次成長期に声変わりをします。思春期の多感な時期に、身体の変化により心も変化し、低い声を出すことに無意識に抵抗が生まれ、高い声を出してしまおうとしてしまうケースがあります。いわゆる裏声で話してしまう状態です。